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Sketch

ーもしも愛がすばらしいなら

人魚のお姫様と人間の王子様(中)

 ある日、王子様が、自分の恋した人を船の旅に誘いました。空は青く、海も太陽の光を浴びて、とてもキレイに光っている日でした。自分の親友も現れるだろうと王子様には分かっていました。王子様は、自分の1番の友だちで、自分の知っている人のだれよりも面白い友だちに、自分の恋する人を紹介したいと思っていました。

 空が青く、波もキレイに光っている日だったので、人魚のお姫様が王子様の元に現れました。隣には、初めて海を見て、緊張と感動に包まれながらも、大きな笑顔を見せている女性がいました。とても美しい女性で、彼女の笑顔は今まで見た海の中のどんな生き物よりも、どんな日の海のきらめきよりも、美しく思えました。一目見て、人魚のお姫様は「この人は私の生涯を共にする人だ」と確信しました。だけど、親友の王子様が恋する女性であることも知っていたので、その日は何も気にせず、1日中、3人でおしゃべりをしたり、水をかけ合ったりして遊び、笑い合いました。人魚のお姫様にとって、人生で1番笑った日になりました。

 王子様の恋する女性、そして今や人魚のお姫様が生涯を共にしたいと考えている女性は、マリアと言いました。マリアがその日船から降りて、家へと帰るときには「あのお姫様と、ずっと一緒にいられたら」と思ってやまなくなっていました。家に帰り着くころには、人魚のお姫様のことで、頭がいっぱいになりました。人魚のお姫様も、マリアと1日を共に過ごしたことで、ますます確信が強くなっていました。その日の晩は、互いに相手のことを想い、なかなか眠りにつけませんでした。

 さて、王子様は3人で遊んだ次の日も、波がおだやかで、海がキレイな日だったので、人魚のお姫様に会うために、海へとくり出しました。そこでびっくり!人魚のお姫様の言葉に驚きました。結婚しないかもしれないと言っていたお姫様が、急に結婚したいと言いだしたのです。それも自分の恋する人と!!けれど、人魚のお姫様は親友でした。王子様は翌日、恋する人の家を訪ね、正直に自分の気持ちと大切な親友の気持ちを伝え、マリアの気持ちを尋ねました。

 その日には、もうマリアの気持ちは決まっていました。人魚のお姫様に恋をしているばかりか、一生を共にしたい、と。王子様はびっくりし、そしてとても悲しくなりました。けれど、人魚のお姫様はずっとむかしからの、誰よりもたいせつな親友でした。自分の恋する人よりも・・・王子様は2人の恋、親友の人魚のお姫様の恋と自分が恋をした人の恋を応援することにしました。

 それからは、王子様が海へ行く時にはマリアも一緒に出かけるようになりました。人魚のお姫様と愛のことばや真面目な話、それから面白い冗談を交わしました。王子様は特別に、自分のいないときでも、自分のかつて恋した人が毎日海に出かけられるように取り計らいました。そして、マリアはお姫様に、お姫様はマリアに毎日会いに出かけました。波がおだやかでないときも、空がどんよりと沈んだ日にも。

 マリアがお姫様に村で集めてつなげた美しい木の実のネックレスを贈ると、お姫様はマリアに、海の貝殻でつくった可愛いイヤリングを贈りました。お姫様がマリアに真剣な想いを伝えると、マリアもお姫様に、「あなたを大切にしたい」と、優しく愛の言葉を伝えました。

 そうして2人は関係をどんどん深めていき、共に生きていきたいと、強く心に決めるようになりました。王子様もまた、新たに尊敬できる女性と出会い、彼女と国をつくろうと考えるようになりました。ただ、人魚のお姫様とマリアは、海から伸ばした手と、船から伸ばした手を重ねて触れ合うことはできても、力強く互いを抱きしめることはできませんでした。そしていつも、1日が終わる頃には離れ離れにならなければなりませんでした。