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Sketch

ーもしも愛がすばらしいなら

小さな女の子の物語<1>

むかしむかし、あるところに、とても弱くて、小さい女の子がいました。女の子には、とても強くて、大きくて、そして怖ろしいお父さんがいました。女の子のお父さんは、いつも女の子を怒鳴り、傷つけ、そうこうしている間に、女の子はどんどんどんどん弱くて小さくなってしまいました。

 

ある日、女の子がもう消えそうなほど弱くてちいさくなった時、女の子は、その小さな体の最期の力をふりしぼって、大きなお父さんから逃げるため、とおくの国まで、歩きはじめる決心をしました。

 

 

旅の途中、女の子は大きなトラに会いました。仲良くすることも、戦って決着をつけることもできず、女の子は血だらけになって、そして前に進みました。その後も、大きなクマや、ライオン、ヒョウにも会いました。そしていつも、血だらけになりながら、前へと進みました。前へと進めば、女の子はいつも血だらけになりましたが、流した血の多さの分だけ、どういう訳か、女の子は少しずつ、大きくなっていました。

ある日、女の子は原っぱに出ました。そこで、大きな木と出会いました。トラよりも、クマよりも、ライオンよりもヒョウよりも、そして女の子のお父さんよりも大きなその木は言いました。「ここでゆっくりしておいき」と。大きな木は、その体に女の子がすっぽり入る、心地のいい穴を持っていました。女の子に、これからずっと、そこで住んでいいよ、と言いました。また、大きな木は、たくさんの木の実を女の子にくれました。これからもずっと、その木の実を食べ続けていいよと。女の子は恐る恐るその穴の中で身を休め、その優しい味の木の実を食べました。2人は一心同体のように、とても仲良しになりました。時々夜、女の子が寝ている間に流す涙は、女の子の知らぬ間に、大きな木の根が優しく吸いとってくれました。

そうして女の子は、大きな木と、大きな木の側を通る気持ちのいい風と、大きな木に遊びに来る鳥やリス、うさぎたちと、そして大きな木の周りに咲いている色とりどりの花々や草木とも仲良しになりました。大きな木たちとの穏やかな日々をとおして、女の子の体は元の大きさー小さいけれど、しっかりと存在している大きさーに戻り、女の子の心は強く、広く、そして優しい心になりました。