本『ママ・アイ ラブ ユー』機智に富んだ9歳の女の子の物語

W・サローヤン著 ママ・アイラブユー (新潮文庫)

 

ブロードウェイの大女優を目指す「すてき」なママと私。ママと一日に一回はケンカをし、仲直りをする9歳の女の子。急にニューヨークへ飛ぶことになった夜から始まる二人の物語。

 

「私」の思ってること、経験したことが、可愛いことばで綴られていて、軽く読め、心が暖かくなる本でした。

 

以下、内容含む

 

 

好きな場面の一つ

あたしがまだ小さい頃、なにかがほしいんだけど、それがなんなのかわからなかった。パパがベッドのそばに腰掛けてた。
「ほしいのよ」あたしはいった。
「わかってるよ。キラキラヒメ」
「あたしのほしいもの、なあに?」
「なにもかもさ」
「もらえる?」
「うん」
「いつ?」
「元気になったらすぐ」
「いますぐは?」
「ちょっとしたらね」
「明日?」
「明日なら大丈夫」
「なにもかもって、なに?」
「きみだよ、キラキラヒメ。元気になったらすぐ、きみは、きみを取りもどせる。自分をなくしてたことなんか忘れてしまう。それがなにもかもさ」
「それだけ?あたしだけ?」
「そうさキラキラヒメ、それだけさ」
「でもパパ、あたし、いつもあたしのこと持ってる」
「いまは別だよ。きみは病気なんだから。誰だって病気のときは、自分をなくしてしまう。ほんのちょっとの間だけね。それが病気ってものなんだ。いきなりきみがいなくなるから、きみはほしがる・・・・・・いろんなもの、なにもかもをね。・・・・・・だけどきみが、ほんとうにほしがってるものは、いつも、きみ自身だ。(以下略)」

 

 文中で「ハッピー」とルビをうたれた「しあわせ」という言葉がよく出てきた。自分の状態をハッピー(しあわせ)かどうかという価値基準ではかること、ふだんはないので面白かったし、私自身にもつかえるということが新発見でした^^

 

訳者の方が、著者サローヤンについて、芸能界でも「この人たちも世間の人々と同じように喜んだり悩んだりして生きているにすぎないことがよく分ります」と語っているように、みんなの「そのまんま」が力をくれる作品でした。

 

古い本ですが、図書館とかにずっと置かれておいてほしい!!