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Sketch

ーもしも愛がすばらしいなら

小さな物語/創作

ジェットコースターにのってしまえば

いちど、ジェットコースターにのってしまえば もうそのまま、のり続けることしかできない。 ジェットコースターはとちゅうでおりれない 怯えながらのってもいいし 楽しみながらのってもいい 前をまっすぐに見つめてもいいし 思いっきり目をつぶってみてもいい…

人魚のお姫様と人間の王子様(上)

むかしむかし、ある国で1人の王子様が産まれました。ちょうど同じころ、その国とつながった砂浜のはるか向こう、海の中で、1人のお姫様が産まれました。 2つの国は、まったく別々の国でしたし、一方には人間が、一方には人魚が住んでいたのですが、「お隣…

人魚のお姫様と人間の王子様(中)

ある日、王子様が、自分の恋した人を船の旅に誘いました。空は青く、海も太陽の光を浴びて、とてもキレイに光っている日でした。自分の親友も現れるだろうと王子様には分かっていました。王子様は、自分の1番の友だちで、自分の知っている人のだれよりも面…

人魚のお姫様と人間の王子様(下)

そんなある日、王子様の元に、幼いころから長年探していた魔法使いが見つかったという連絡が入りました。王子様はすぐに魔法使いを呼び寄せました。幼いころからの夢が叶うかもしれないと、王子様は興奮していました。魔法使いに会うと、「もしも願いを叶え…

【詩】あの時気づいていたならば

いつ書いたのか、分からないけれど、パソコンの中で発見したので。 ーーーー あの時気づいていたならば。 あの時気づいていたならば、きっとここに住むことはなかっただろう。木枯らし吹ける、寒空の下、一人一つの布団をかけ、古龍の側に寄り添って。 あの…

何か、赤いもの

ある日お茶を入れようと立ち上がった時、部屋の中に小さな赤いものがたくさん落ちていることに気がついた。よく見ると、それは液体だった。血の色に似ているような気がした。 綺麗に拭こうと思い、雑巾を手にようとした時、それは落ちないものだと気がついた…

キスをした

男は言った。「怖くはないよ」と。私は答えた。「そんなの知っている」と。 私たちは、塔のてっぺんにいた。てっぺんといっても、てっぺんにほんの少しだけ届かない、そんな場所だった。けれど、風は強くて、街の景色はほとんど全て見えて、ほとんどてっぺん…

晴読雨読ーそして『わがままなやつら』

友人が、とある新聞の「晴読雨読」というコーナーで図書の紹介をすることになった、と言った。 私なら、人生で読んだどの本を紹介するのだろう、と考えてみた。 頭に浮かんだのは2冊。 中学時代に出会って、今でも素晴らしい本だと想っている「マリアからの…

愛しているよ

私は彼女に伝えた。愛している、と。彼女は私に答えた。私も愛しているよ、と。 けれど私は知っていた。彼女の「愛している」と私の「愛している」が異なっていることを。 だから、彼女が消えてしまったとき、私は不安にはならなかった。ただただ悲しかった…

【創作】パンケーキの香り

最近、シャワーを浴びると、体から食べものの匂いがした。食べものーそれも、ポークと野菜のなんとか煮とか、少し高級なレストランで出そうなものだ。(私はベジタリアンだから、肉は食べないんだけど)。 毎日違う匂いがして、時おり少し洒落たワインの香り…

ウサギとカメ

むかしむかし、あるところに、小さなウサギと大きなカメがいました。 ウサギは野原で、カメは海で暮らしていたので、生涯のほとんどを出会うことなく暮らしていました。 けれど、ある日、ウサギは野原の端っこに行ってみたくなりました。 カメは海の、砂浜の…

小さな女の子の物語<1>

むかしむかし、あるところに、とても弱くて、小さい女の子がいました。女の子には、とても強くて、大きくて、そして怖ろしいお父さんがいました。女の子のお父さんは、いつも女の子を怒鳴り、傷つけ、そうこうしている間に、女の子はどんどんどんどん弱くて…

小さな女の子の物語<2>

小さな女の子の物語<2>

少年と海

少年が幼い頃、彼の母親は言った。 海の奥深くに、たいせつなものがあるの。とてもたいせつなものが、と。 数カ月後、少年の母親は亡くなった。少年には父親はいなかった。 それから数ヶ月、少年は毎日砂浜で泣きはらし、当たり散らし、涙で顔を濡らした。大…